看護師の仕事内容は多種多様にあり、病棟と外来では業務内容が違ってきます。
看護師としてクリニックで働くために大事なスキルはどういうものなのか、クリニック側がどのような看護師を求めているのかを理解し、そのうえで就職活動をすると、きっと自分に合った長く働けるクリニックが見つかるはずです。
・看護師がクリニックで働くために必要な資格や手技、スキル
クリニックのほとんどは入院設備はなく、主に外来診療のみの場合がほとんどです。
そのため夜勤業務はなく、日勤のみの業務のため心身の負担は多少少ないと言えるでしょう。
クリニックは小規模で、様々な専門家に分かれているため、それぞれの科の専門知識が必要になります。
また、業務内容が幅広く、基本的な医師の診察や検査介助、アナムネ聴取、VS測定、採血、注射、点滴に加え、医療器具の洗浄や消毒、医薬品の補充などの雑務もある場合が多いです。
そのため総合病院の病棟である程度経験を積み、基本的な知識や技術を身につけてからクリニック看護師に転職するのがベストだと思います。
さらにクリニックは地域密着型の医療施設なので、患者さんにとって安心できる存在になることが大切であることや、医師や院内の別の部署、薬剤師との連携も大切なので、広い視野や高いコミュニケーション能力を求められます。
看護師がクリニックで働くためにあると優位な資格や経験スキル

クリニックで働くうえであると優位になる資格や経験は、当然そのクリニックの専門科によって変わってきます。
内科
内科でも、さらに様々な専門家に分かれているクリニックが多く、それぞれのクリニックがどのような疾患の患者さんが多いのか把握しておく必要があります。
まずは基本的な生活習慣病に関する知識は不可欠で、さらに専門的な知識や技術が必要になります。
それぞれの専門科でもっていると優位な資格などは以下の通りです。
内分泌系→糖尿病看護認定看護師、糖尿病療養指導士、フットケア指導士
消化器系→消化器内視鏡技師
循環器系→慢性心不全認定看護師、循環器専門ナース、人工心臓管理技術認定士
腎臓系→透析看護認定看護師、慢性腎臓病療養指導看護師
整形外科
整形外科分野の専門知識はもちろんのこと、ADL(日常生活動作)向上に関する知識も大事です。
治療と同時にリハビリテーションを行う患者さんが多いので、基本的な松葉杖などの使い方や、訓練介助の知識があると患者さんと密接に関われる機会も多くなります。
高齢化により高齢者が増えているので、地域の看護師として骨粗鬆症に関する専門知識もとても大事です。
具体的には、認定運動器看護師、回復期リハビリテーション看護師、骨粗鬆症マネージャーなどの資格や検定があります。
小児科
小児科は赤ちゃんから成人まで幅広い年齢に対応しなければいけないので、その年齢の発達に応じた看護が求められます。
まだコミュニケーションをとれない赤ちゃんや、幼いうちから難病を抱えている子もいるので、家族のサポートもとても大切です。
臨床心理士、社会福祉士、思春期保険相談士などの資格があります。
精神科
精神科では、心理系の資格が役に立ちます。
公認心理師、臨床心理士、認知症ケア専門士などがあります。
その他にも、皮膚科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科など、沢山の種類の専門的なクリニックがあります。
それぞれ必要とする知識や技術は異なり、より専門性のある看護師にはなれますが、他の科への転職は多少難しくなってしまう可能性もあります。
看護師がクリニックに採用されやすい経験部署・病棟

やはりクリニック側は即戦力になる人を求めているので、そのクリニックの専門科の経験や知識があるかどうかは重要になってきます。
病棟勤務の方が、基本的な看護技術や知識を身につけやすいという点や、患者さんとじっくり関わり、病気に関しての細かなアセスメントをしたり、一人ひとりに個別性のある看護計画を立てることが求められます。
一方クリニック看護師は、多くの患者さんと接し、限られた短い時間でスピーディーに業務をこなす必要があり、その中でアセスメントをしたり、個別性のある看護が出来ることが望ましいので、病棟経験である程度の基本的スキルが身についているかどうかもポイントになるのです。
また病棟の中でも、基本的なスキルが身につきやすい内科・外科を経験しておくと、クリニックへの転職を考えたときに選択の幅は広がります。
・看護師がクリニックで働くためには資格だけじゃない!採用担当が見ているポイント
(1)履歴書でのチェックポイント
採用担当者は、履歴書が基本的な一般常識に沿って書かれているかを見ているので、まずはそこを意識して書くようにしましょう。
具体的なマナーとして以下のようなことがあります。
①黒のボールペンや万年筆を使う。
②修正ペンや二重線での訂正はしない。(書き間違えたら新しい用紙で書き直しましょう)
③丁寧な言葉で書く。
「です・ます」調で統一する。クリニックの場合は「貴院」と書く。
④日付を忘れずに。(西暦、和暦を統一する)
⑤3ヶ月以内に撮影した証明写真を貼付する。
⑥学校名や病院名などの名称を省略しない。
また、転職サイトで応募した際は先に履歴書だけ送付することが多いため、採用担当者に「直接会ってみたい!」と思わせる履歴書にすることがポイントです。
志望動機は、地域の患者さんのために尽くしたいという思いや、そのクリニックの専門科の経験や資格があればアピールしましょう。
熱意が伝わるように自分の言葉で書くことも大切です。
(2)面接のときのチェックポイント
まずは基本的な挨拶、丁寧な言葉遣いができているか、質問に対しての返答などのコミュニケーション能力は1番大切です。
緊張するとは思いますが、笑顔で、相手の目を見て話すようにすると好感度もアップします。
職務経歴書を提出していない場合は、自分がこれまでにどのような仕事を経験してきたか、そのクリニックの専門科の知識や技術がある場合はアピールしましょう。
ただし、専門的な知識や技術、資格があったとしても、それを自慢するような態度だったり、信念を熱く語りすぎるのは避けましょう。
せっかくのプラスポイントなのに、「この人は他のスタッフと衝突してしまうのではないか?」「このクリニックの方針ややり方に従ってもらえないのではないか?」と思われてしまい、逆にマイナスイメージをもたれてしまう可能性がありますので気をつけましょう。
またその専門科の経験がない場合は、これからしっかり勉強していきたいという意思や意気込みをしっかり伝えましょう。
看護師がクリニックで働くために資格が必要?クリニックナースが教える採用ポイントのまとめ
クリニックで働く上で、まずは基本的な看護技術や知識は必要なので、新卒では教育体制の整った大きな病院での病棟勤務を経験しておく方がよいでしょう。
そして、クリニックに採用してもらうポイントとしては、経験のある専門科のクリニックの方が強味になります。
自分もある程度知識や技術があるのでスムーズに業務に取り組め、クリニック側としても即戦力になることが多いと思います。
経験のない科のクリニックを希望した場合も、基本的な看護技術や知識があり、コミュニケーション能力があれば採用してもらえることが多いと思います。
その場合でも、これから一生懸命勉強し、早く業務に慣れるよう努力する姿勢をみせることが大切です。
クリニック看護師は様々な能力が求められますが、その分自分の看護師としての経験値を上げることができます。
地域の患者さんに愛されるクリニック看護師になれるといいですね。