看護婦さんって呼んだらダメなの?
そんなに厳密に決められてるの?
高齢化社会で現在、看護の対象は高齢者の方が多いのはご存じのはずです。
高齢者とよばれる70、80歳代以上の方は「看護婦さん」と呼ぶことに慣れている方は多いのではないでしょうか?
また
看護師なのに看護婦って呼んでしまったけど、差別になるのかな?
と疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。
「看護婦」は「看護師」と厳密に言葉を変えないといけないのでしょうか?
今回はそんな
- 「看護婦」から「看護師」に変った理由
- 「看護師」と「看護士」の違い
を解説します。
また看護師以外にも呼び方が変わった職業もご紹介しますので、時代の流れに乗り遅れないようにしてくださいね!
きっと今回の記事を読めば、これからの時代も差別扱いされることなく胸を張って呼べるようになります。
ぜひ最後まで一読してみてください。
看護婦の呼び方は差別ではないけど変わった理由は男女雇用機会均等法
まず、看護婦から看護師に名称が変わった理由から簡単に見ていきましょう。
結論から言うと、名称が変わった理由は「男女雇用機会均等法」が主に関わっています。
日本ではもともと「看護婦」として医師の補助や療養者の世話をしてきました。
資格制度ができたのは大正4年までさかのぼります。
大正時代には資格があったものの、第二次世界大戦のときには
とにかく看護婦の人数を増やせ-!
と、ろくな教育を受けずに看護婦を量産していったのです。
その後、戦争が終わりGHQ(連合国軍総司令部)のお偉いさんが「日本の医療は立ち後れている」と日本中を視察して回って、制度化してくれました。
その後いろいろとありませして、GHQのお偉いさんは
看護婦は独立しなければならない!
と、看護協会の基となる組織や制度を作り上げてきました。
その後「保健婦助産婦看護婦令」という物ができ、現在の保健師助産師看護師法に引き継がれています。
そして1986年に「男女雇用機会均等法」が施行されました。
男女雇用機会均等法が出来たことにより、男性も女性も、看護婦から看護師に名称が変わりました。
(看護士という呼び方もありましたが、これはまた次項で説明しますね)
男女雇用機会均等法で名称を変えただけで、特に差別する言葉ではないです。
しかし
- 看護師は女性がなるもの
- 看護師の仕事は女性でないと勤まらない
などは偏見ですので、思ったとしても口に出さない方がよいでしょう。
看護婦と看護士、看護師の違いは?
前項でもあった「看護士」と言うことばですが、他にも「婦」「師」と同じ仕事をするのに漢字が違いますよね。
なぜ「師」「士」「婦」と3種類もあるのでしょうか。
それは歴史の流れにあります。
「婦」・・・看護婦は主に看護を行う女性を指して使用していました。
「士」・・・実は言うと、キリスト教ではもともと、男性の修道士が看護を行っていました。
そのため、看護士というと「看護をする男性」を指して使用されていました。
「師」・・・男女雇用機会均等法の制定により、看護婦と看護士を統一して「看護師」と呼ぶようになりました。
また、これは私的な知見になるのですが、以前、医師と看護婦では上下関係がありました。
医師が右といえば右、左と言えば左と、医者の言うことは絶対というのが基本でした。
しかし
パターナリズム(主従関係)はやめましょう
と言われ始め
医師も看護婦も同じ立場で意見を言えないとダメだ!
ということで、同じ「師」という字が当てられたと高校のときに看護教員より教わりました。
教員の説明がかなり腑に落ちたので、現役訪問看護師の私もそのように説明して回っています。
漢字の違いは男女の違い、そして歴史的な違いから名前が変わってきて、現在の「看護師」となったのです。
男女で名称が変わるのは日本特有のものです。
英語では男性も女性も「nurse」ですよね。
これはアメリカでは男性も女性も看護師という職業を、昔から性別関係なく行っていたためです。
看護師でも看護婦でも特に差別だと騒ぐような看護師はいません。
それはきっと女性の看護師にしか「看護婦さん」と声をかけないからですね。
看護師や看護婦などの呼び方は時代の流れで変化しただけです。
特に神経質にならなくても良いですが、時代の流れに乗って損はありませんので、少し意識してみるのも良いかもしれませんね。
看護師以外で死語となった呼び方の職業
看護師以外でも、業務内容は一緒でも昔の職業の名前と今の名前が違う職業は多々あります。
少しだけ紹介していきます。
スチュワーデス → キャビンアテンダント
昔は『スッチー』と呼ばれていました。
スチュワーデスは女性搭乗員を表すことばで、男性には使いません。
今は添乗員やキャビンアテンダント、いわゆる「CA」って呼ばれていますね。
あまり見かけませんが、実は男性のCAも少しずつ増えているとか。
ホテルマン → ホテリエ
ホテルマンは昔あったドラマから出てきた言葉です。
男性はホテルマン、女性はホテルウーマンと呼ばれていたそうですが現在では死語ですね。
現在はホテリエと呼びます。
ホテリエはフランス語で「Hotelier」と書きますが、Hの発音をしないので「オテリエ」と発音します。
しかし日本では「ホテリエ」と読んでしまい、浸透した言葉ですね。
男性だけでなく、女性も含めてホテルで働いている人を指すのでこの言葉になりました。
ウグイス嬢 → 場内アナウンサー
野球場などでよく聞かれていたウグイス嬢も死語のたぐいに入ってきました。
ウグイスのよう綺麗な声を女性が響かせていたので「ウグイス」+「嬢」となったのですが、最近では男性の場内アナウンスも目立ってきました。
男女差をなくすために「場内アナウンサー」と統一されてます。
まだ完全に死語になった訳ではありませんが、死語に移行する前に「場内アナウンサー」と呼ぶクセをつけておいた方が良いかもしれませんね。
番外編:大蔵大臣 → 財務大臣 お金を握る人
今は財務大臣と名称が変わって、現任は麻生太郎さんが担当されています〈令和3年4月22日現在)。
財務大臣は過去に大蔵大臣と呼ばれていました。
日本のお金事情を一手に引き受ける内閣の中でも重要ポストの一つです。
お金事情を一手に引き受けることを引用して、会社の経理担当や一家の通帳を管理する人を「大蔵大臣」と呼んでいたこともあります。
「うちの大蔵大臣が良いっていえば買えるけどな~」と使っていましたね。
歴史の流れによって職業の呼び方もどんどん変化していきます。
飛脚が運送屋になり、忍者がSPになったり(?)と様々な形へと変化していきます。
ついついぽろっと人前で
綺麗なスッチーがいたよ
ホテルマンはやっぱりかっこいいな
うちの大蔵大臣は厳しいから
など、ぽろっと死語が出てこないようにしましょう。
看護婦の呼び方は差別になる⁉看護師の違いや死語となった呼び方の職業のまとめ
看護師が過去に「看護婦」「看護士」と呼ばれていたのは、時代の流れによるものです。
厳密に言えば
「婦」・・・看護婦は主に看護を行う女性を指して使用していたことば
「士」・・・イギリスで昔、男性の修道士が看護をしていたので「看護をする男性」を指していた
「師」・・・男女雇用機会均等法の制定により、看護婦と看護士を統一した
という使い分けがありますが、そこまで気にする看護師は極わずかでいないに等しいです。
男女雇用機会均等法の施行に伴い、さまざまな職業の呼び方も変わってきました。
- スチュワーデス → キャビンアテンダント
- ホテルマン → ホテリエ
- ウグイス嬢 → 場内アナウンサー
3つとも全て男女雇用機会均等法の影響を受けて名前が変化した職業ですね。
特に以前の呼び方で「差別だ!」と騒ぐ人はあまりいません。
どれも時代の流れによって名前が変わってきただけです。
しかし
看護婦なんかが医者に意見を言うな
スチュワーデスなんだから黙って言うことを聞いてろ
など、〇〇なんだからと使うのは差別になってきますので注意が必要です。
どの職業も歴史があり、ここまで頑張って築き上げた仕事です。
看護師やCA、ホテリエのみなさんはプライドを持って職務をおこなってます。
病院や旅行先などで関わったときには一言「ありがとう」と笑顔で言える心を持てる人でありたいですね。