
新型コロナワクチンのバイトをしようかなぁ
と考えてる方はいますか?
なかには「すでにやってみたよ!」という方もいるのではないでしょうか。

筋肉注射の手順を確認したら習ったのと違う!
つままず伸展させてるし、接種したあとはもまないって聞いた…
接種部位も肩峰から3横指じゃなくなったの?
このように変更点に驚いた方が多いのではないでしょうか!?
- これから新型コロナワクチンのバイトをしてみようと思ってる方
- すでにしたけど新しいポイントや手順を知りたい!という方
のために
- 筋肉注射の新しくなったポイントの理由
- 筋肉注射の正しい手順とエビデンス
を、まとめてみました!
ぜひ最後まで読んで、スムーズなワクチン接種業務に役立ててくださいね。
筋肉注射は伸展させる?つままないのが正しい?

2021年2月に日本医師会より新しい筋肉注射の手順が発表されています。
また筋肉注射の新しい手技に関する文献もたくさんありますよ。
筋肉注射をつままず伸展させる理由
新しい方法では三角筋をつまみません。
つまむと皮下組織が手繰られて厚くなり、針先が三角筋に届かなくなります。
そのため皮下注射になるかもしれないです。
筋肉注射を伸展させる方法
新しい方法では三角筋を広げて圧迫固定します。
こうすることで、皮下組織が厚くならずに三角筋を固定することができます。
針は必ず直角に刺入しましょう!
筋肉注射の部位の探しかた

神経損傷を防ぐため、筋肉注射の部位を正しく探す必要があります。
従来の教科書には載っていない刺入点があるので、みていきましょう。
肩峰から3横指は古い?
この高さは従来教科書に載っていますが、望ましくないという意見があがっています。
絶対にダメ!という訳でもないのですが、はっきり言って古いでしょう。

安全に筋肉注射が接種できるエビデンスがあるため、知識はアップデートしていきたいものですね。
肩峰から3横指はダメ?理由は?
下の腋窩ヒダの上縁(前後の腋窩線)の高さが望ましいとされています。
肩峰から4cmの部分には三角筋下滑液包(腱板を保護する、肩関節の動きをスムーズにする)が存在しています。
肩峰から5cm(これが3横指にあたる)には腋窩神経があります。
また、刺入点が下すぎても橈骨神経を損傷する可能性があるからです。
新しい方法は前後の腋下線を結んだ位置
新しい刺入点は、腋窩ヒダの上縁(前後の腋窩線)と肩峰中央からの垂線が交わった点です。
詳しい図は奈良県立医科大学のマニュアルに載っています。
筋肉注射をするときの姿勢

患者さんにも注意をしてもらわないといけない点があります!
ポイントをまとめてみました。
手を腰に当ててもらうのは古い?
手を腰に当ててもらうのは危険です。
私はもともと「腰に手を当ててもらう」と習ってはいませんが、やめておきましょう。
理由を下にまとめました。
手を腰に当ててもらうのがダメな理由
腰に手を当てて肘を張る姿勢は「肩関節を内旋する」と言います。
こうすると橈骨神経が接種者から見て正面近くにきてしまい、誤って刺してしまう可能性があり神経損傷を起こしてしまいます。
腕を下におろしてもらう理由と方法
腕を下におろして手のひらを自分の体に向けてラクにしてもらいましょう。
腕を真っすぐおろしてもらうことで、肩が接種者の目線の高さにきます。
そのため確実に三角筋の位置を把握し、誤って腋窩神経や橈骨神経を刺してしまうリスクを減らすことができますよ。
ほかにもあるよ!筋肉注射をするときに気を付けたいポイント

その他にも気を付けるべきポイントがあります。
ぜひ、覚えておいて接種時に役立てましょう!
筋肉注射するときの看護師はすわって行うようにする
接種者もイスに座って、目線が肩の高さにこないといけません。
腕を真っすぐおろしてもらう理由と同様に、接種者が立ってしまうと目線がずれてしまい、腋窩神経や三角筋下滑液包の損傷を起こすリスクが高くなります。

できれば自由に動くイスに座って目線の目の前に肩がくるように調節してくださいね。
筋肉注射は逆血の確認は不要
逆血の確認をしようとすると、陰圧をかけることになります。
そうすると筋肉組織に損傷を与えてしまいます。
筋肉組織に損傷を与えると、免疫を獲得する力が減弱してしまいます。
新型コロナワクチンの免疫力はできる限り強い方がよいので、少しの工夫でなるべく強い免疫力が獲得できるようにしましょう。
また、三角筋内には大きな血管がないため、血液の逆流を確かめる必要もないのです。
新型コロナワクチンを打ったあとはもまない!
ワクチンを打った後はもんではいけません。
そもそも筋肉注射の後にもむ理由は、薬液を拡散して周囲組織に浸透させるためです。
また毛細血管壁から薬液が吸収されるのを促進させることで硬結や疼痛などが起こらないようにすることとされています。
しかし、最近の見解ではもんでも免疫獲得への影響はほとんどなく、もむと逆に硬結や疼痛を引き起こしやすいと言われています。
また、強くもみすぎると皮下出血を起こしてしまいます。
ワクチンを打った後は軽く押さえるだけで充分です。
凝固系に異常がある人は2分以上押さえるように伝えましょう。
筋肉注射は伸展させる?つまむ?新しくなった手順まとめ

- ワクチンを受ける人には腕をだらんと伸ばし手のひらを自分の体に向けてもらう
- 接種者の目の前に肩がくるように目線を意識する
- 前腋窩線と後腋窩線を結んだ線と肩峰の真ん中からの垂線が交わった点が新しい刺入点
- 三角筋は軽く広げて圧迫固定する
- 針は直角に刺し血液の逆流を確かめる必要はない
- 薬液は素早く打ち終わった後は軽く押さえて止血するだけでOK
この大事なポイントを踏まえてワクチン接種業務に役立ててくださいね。