訪問看護師になると自分で判断して動かなくてはならないため、不安になり怖いことが多々あります。
怖い状況、困った状況になったとき、訪問看護師としてどのようにすればよいのか。
今回は
・訪問看護師が訪問先で判断しなければならないケース
・オンコールでのケース
・どうすればフォローしてもらえるか
・怖いと思えるほど慎重な方が訪問看護師に向いている理由
を現役訪問看護師の私がご紹介していきます。
この記事を読んで、あなたが訪問看護師として働くハードルが少しでも下がりますように。
訪問看護師として働くのが怖い①訪問先での判断が不安

訪問看護師になる前から

一人で判断するのが怖い
ということはよく聞かれます。
たしかに、訪問看護師は一人で訪問し始めると判断に迷う場面を想像して不安になります。
現役訪問看護師の私も始めたばかりのときはそうでした。

しかし、以下のことを知っていればほとんどの場合に対処ができます。
現役訪問看護師の私の体験談も取り入れながら解説していきます。
訪問先での判断が必要なケース
判断が必要なケースは、訪問看護でも病棟での看護でも毎日のように起きますよね。
病棟で看護師をしていたときには、すぐに相談しろと耳にタコができるほど言われていましたのですぐに相談していました。
しかし、訪問看護になると毎回すぐ相談をしていると、利用者さんを待たせてしまったり不信感を持たれることもあります。
ではどのようなケースで判断が必要になったか、その時のフォローをしてもらう方法を説明します。
バイタルサインがいつもより高値or低値だった
これは再々あります。
フィジカルアセスメントを理解しているかどうかを問われる状況です。
バイタルサインとは、熱や血圧・脈拍数・呼吸数ですよね。
熱が高ければ発熱ですし、血圧が高ければ高血圧、低ければ低血圧などの判断はつきます。
ここで困るのが

このままにしておいていいのだろうか
ということですよね。
まずは前回までの記録を確認してみましょう。
過去にも同じことがあったかどうかや、その時に先輩看護師はどのようにしているか。
他のバイタルサインの変化や呼吸音、腹部状態、何より自覚症状を聞いて同じような状況だった場合には以前と同じ対応をしても大丈夫でしょう。
しかし、頻回に起きている場合にはカンファレンスを開く必要性がありますので報告は必須です。
自宅に訪問したら心肺停止していた
これは稀ですが、あり得ることです。
何かしら、身体に異常があって医師の指示にて訪問しているので可能性としてはあります。
この場合には対応が分かれます。
(1)看取り希望の方で、家族や医師・ケアマネージャーなど周知されている場合
(2)急変時の場合
(1)の場合は救急搬送はせずにかかりつけ医の指示に従いましょう。
自宅まで来て死亡診断書を作成してもらいます。
(2)の場合は各ステーションによりマニュアルが違うため、一概には言えません。
まだ身体が温かい場合には心臓マッサージなど1次救命処置を行う場合が多いです。
しかし
- 死後硬直が始まっている
- 死の3徴候(瞳孔反射がなく、心拍・呼吸が停止)が見られる
場合にはそのまま救急や警察へ連絡するなどが多いです。
その場合、検死となり、救急から警察へ連絡、事情聴取などが行われた後に事件性がなければ救急で対応した医師が死亡診断書を作成されます。
あくまでも各ステーションにより対応は違いますので必ず
- 急変時の対応マニュアル
- 看取りの同意書の有無
を確認しておきましょう。
判断に迷ったときにフォローしてもらう方法

上記のように判断に困ったときには相談するしかないですよね。
では一人で判断できず、怖いときにはどうしたらフォローしてもらえるかを解説していきます。
先輩やステーションの看護師に電話で相談する
これが一番ベーシックかつ最速で相談できる手段です。
このときにポイントなのが、5W1Hです。
簡潔でなお必要事項を相談するときには必須です。
良い例)
訪問時に(いつ)
本人様の居室で(どこで)
Aさんが(誰が)
転倒して動けなくなっていました(なにを)。
右の大腿部を押さえて疼痛を訴えられてます(どのように)。
となります。
悪い例)
Aさんが転倒してました。
これではなにもわかりません。

日頃から5W1Hを意識しながら報告をする練習をしておきましょう。
必要なときには写真を共有して相談する
特に褥瘡がある方や見たことのない発疹などは言葉では伝えにくいです。
これは百聞は一見にしかずで写真を共有しましょう。
また、写真と一緒に必ず日付や大きさ(ものさしなど)を一緒に写しておくと経過がわかってよいです。
しかし、これにも注意点があります。
それはあらかじめ、写真を撮ることを利用者本人やその家族に了承を得ておくことが後のトラブル防止になります。
勝手に素肌の写真を撮られると良い思いはしません。

必ず撮影前に了解を得て、その旨を看護記録に残しておきましょう。
同行訪問で悪いケースを想定して相談しておく
先ほども紹介したとおり、最悪な例もあり得ます。
看取りなのか救急搬送なのかなどは訪問前に先輩看護師に尋ねましょう。
また、同行時にはただ手技を見ているのではなく、自身なりにアセスメントして看護問題を挙げながら立ち会いましょう。
そうすることで、アセスメント能力が育つだけではなく危険予知能力もついて一石二鳥です。
一緒に同行する看護師も、質問されると「言われてみればそんなリスクもあるな」となることが多いです。
訪問看護師として働くのが怖い②オンコールの対応ができるか不安

訪問看護師特有の業務でもある「オンコール」の対応は不安ですよね。
現役訪問看護師の私も未だにコールがなると、自宅にいてもビクッとします。
ではどのような場合にオンコールがあるのか、その時にフォローしてもらう方法を見ていきましょう。
オンコールで対応する必要があるケース
主には「緊急な場合」と「相談のみの場合」があります。
前者はすぐに対応しなければならないので、緊急対応します。
特に多いオンコールが
- 転倒した
- 排尿バックに尿が出ていない
- 看取りの方が呼吸停止している
という場合です。
また、後者の「相談のみ」という場合もあります。
- 発熱しているがどうしたらよいか
- 薬を飲み忘れたがどうしたらよいか
などが多くあります。
家族や介護職員で判断がつきにくいときが主ですね。
その場合は詳しい状況を聴取して、判断します。

この場合も5W1Hを意識して質問すると相手も答えやすいです。
判断に迷ったときにフォローしてもらう方法
では、状況を聞いても判断できない場合はどうしたらよいのか。
まずは実際に自分の目で状況を確認して、先ほどと同じく5W1Hでサブのオンコール待機者や管理者に相談しましょう。
日中に管理者の方に「オンコールで不安なので何かあれば相談してもよいですか?」など一言かけておくのがおすすめ。
管理者も不意な電話に対応できます。
訪問看護師には怖いと思えるくらい慎重な人が向いている理由

これまで、ケースなどを紹介してきましたが極一部です。
まだまだ予期せぬ事態は起きてきます。
経験していくと慣れていくものではありますが、現役訪問看護師の私は後輩看護師に

怖いと思うことは忘れてはいけない
と伝えています。
ガチガチになって夜間寝れずにいると、翌日の勤務に支障が出てきます。
しかし適度な緊張感があると、何かあったときに集中力が増して適切な判断が出来ます。
また怖いと思うからこそ、何かあったときのシミュレーションを頭の中で繰り返し行うので、対応力が向上します。
私は怖いと思えるくらい慎重な方が、訪問看護師として任せられると考えています。
訪問看護師として働くのが怖い!1人では不安な状況判断に困ったときの解決方法のまとめ

訪問看護師としてデビューし、ついにオンコールを持つことになると不安がいっぱいですよね。
- 訪問時やオンコールのときのどのようなケースがあるか
- その時にフォローしてもらうにはどうしたらよいのか
を解説してきました。
訪問時に判断していくなかで自分のアセスメント能力が育まれ、成長して行くことが出来ます。
また怖いと感じているのであれば、自分でシミュレーションして対応できるように準備しておきましょう。
それでも困ったときには相談すれば助けてもらえます。
訪問看護師には判断する場面が多数出てきます。
そのたびに自分の判断は適切だったのかと反省して、また判断しての繰り返しです。
必然的に繰り返すので経験あるのみです。
現役訪問看護師の私もいっぱいミスをしてきました。
そうやって利用者さんに学ばせてもらったり、先輩の訪問看護師に教えてもらって今があります。
ガチガチにならずに適度な緊張感を持って、訪問看護師ライフを楽しんで下さい。