ICU10年目ナースが教える仕事や役割とスケジュールとメリットデメリット

ICUに異動が決まったんだけど、どんなことするんだろう?スケジュールはどんな感じ?私って向いてるかな?

ICU10年目ナース

ICU歴10年のナースが仕事内容やタイムスケジュールをお伝えします!

この記事のポイント
・ICUの仕事内容と役割
・ICUの1日のタイムスケジュール
・ICUで働くメリット、デメリット

ICUって怖いし忙しいイメージがありますが、機械で管理されている分、病棟よりもスムーズな部分もあるんです。

ぜひ、最後まで読んでICUへの異動の参考になると嬉しいです!

目次

 ICU看護師の仕事内容と役割

ICUはIntensive Care Unitの略で集中治療室を指します。

集中治療室と聞くと、イメージ的には意識もなくて医療機器も点滴もたくさんついて…という印象を持たれやすいですが、実際はそのような患者さんばかりではありません。

Ope直後に既往歴が色々あるので病棟にすぐ帰室するのは難しい患者さんであったり、逆に手術前にしっかりとしたモニタリング管理をしたい患者さんであったり、とにかく入室基準は様々です。

そして役割としては、常に患者さんのそばで看護を提供するこの一言に尽きます。

確かに治療の進むスピードや医療行為への依存度も高く看護師の介助量は増えます。

日本のほとんどのICUが昼夜問わず看護師配置について2:1を取り入れていて、受け持つとしても1人の看護師につき2人までですし、24時間医師も常駐しています。

これも病院施設によるかと思いますが、動線に関しても病棟のようにいくつもの部屋があるわけではなく、ワンフロアで見渡せるようになっていたり、いつでも患者の受け入れや手術や検査出し等がしやすいような作りになっています。

そして病棟と大きく違うのは、患者さん一人一人が常にモニター管理され看護師から常に状態がモニタリングしやすいようにベッド配置がされています。

ICU10年目ナース

個室に入ってしまうと様子が見れなくなってしまう病棟とは違う安心感もあるんです。

ICU看護師の仕事内容

ICUで働く看護師の仕事内容は大きく6つです。

・モニタリング管理

・日常生活の看護

・Ope準備やOpe出し

・受け入れ、送り出し

・医療機器の操作

・家族のケア

大変だと思われる理由はモニタリングのための医療機器の管理や薬剤の管理のためのポンプや複数の点滴投与と管理などが一般病棟に比べると多いです。

しかし、しっかり継時的にモニタリングされている分、アラーム設定をしておけば変化にも気づきやすく、現在の医療機器は優秀なのでボタン一つ血圧測定ができ、瞬時に必要な情報を得ることもできます。

ただ、アラームが緊急を要するのか経過観察でよいのかその部分の判断は問われるので高度な知識を要することは間違いありません。

ICU10年目ナース

チームで見ていますし、経験とともに判断力もついてくるので最初からできなくて当たり前です!

他の業務についても集中治療ならではという側面はありますが、こうしてみるとICUだから特別というものは実はないんです。

ICU看護師の役割

ICUは集中治療ですから、看護師に求められるのも集中的に密度の濃いモニタリングと看護の提供です。

会話ができる患者さんもいますが、人工呼吸器につながれていたり、疾患のために意識不明であったり話せない患者さんも多いのがICUの特徴です。

その場合、私たちは患者さんの痛みや苦痛をモニタリングされるバイタルサインの数値や表情、フィジカルアセスメントから読み解くしかありません。

またICU治療は超急性期から急性期であることがほとんどのため、患者さんや家族の中には医師が求める治療のスピードに着いていけず、状況変化に気持ちや理解がついていけず、置いていかれてしまう…というケースがたくさんあります。

患者さん側と医療者側にズレが生じると、後々トラブルになることもあります。

患者さんの状態が悪くなってしまった場合、家族は自分の決断に落ち度があったのではないかと自分自身を責めてしまうことになってしまいます。

そして、患者さんが亡くなった後も自責の念に押しつぶされてしまうというケースも珍しいことではありません。

そうした悲しいトラブルを起こさないようにするためにも、患者さんやご家族の声を一番近くで見守る存在であるICU看護師がきちんと受け止めてあげることも大事なんです。

チーム医療として医師や他のコメディカルをつなぐ架け橋をするという重要な役割も任されています。

忙しく目まぐるしく動く日々だからこそ、ICU看護師にとっては患者さんと家族のケアは見落とせないポイントなのです。

  ICU看護師の1日のタイムスケジュール

ICU10年目ナース

実際に参考までに私の勤務する病院のICUでのタイムスケジュールについて紹介していきますね。

ICUナースの日勤帯のタイムスケジュール

8:30 全体申し送り

8:45 個別申し送り、ラウンド

9:00 医師回診、清潔ケア

10:00 カンファレンス

12:00 休憩 患者さんの食事介助

13:00 午後のケア、OPE後患者受け入れ、記録など

16:30 夜勤全体申し送り

17:15 勤務終了

ICUナースの夜勤帯のタイムスケジュール

16:30 全体申し送り

16:45 個別申し送り、ラウンド

18:00 当直医師回診

18:30 食事介助、休憩交代

21:00 ラウンド

22:00 消灯、申し送り

24:00~6:00 休憩交代

6:00 患者起床時間、検温・採血などラウンド

8:00 食事介助

8:30 全体申し送り

8:45 個別申し送り

9:00 勤務終了

日勤、夜勤ともに合間に記録を行いますが、患者さんの病態に合わせ検査やOPE出しなどを行っていきます。

緊急入院の頻度はどれくらい?どんな患者さんが多い?日勤と夜勤で違う?

緊急入院の頻度や患者はその時によってまちまちです。

比較的空いている平穏な日が2,3日続いたような気もすれば、昨日までとは打って変わって忙しくなることも。

こればかりは神のみぞ知るといったようなところです。

これはあくまでも私の経験則ですが、日勤と夜勤では夜の方が、緊急入院の頻度が多い様な気もします。

ただ、基本的にはICUはベッドコントロールが常駐する医師によって管理されています。

私の勤務する病院では院内急変しそうなときには、事前に入室可能か連絡が来ます。

OPE枠も曜日毎に診療科が固定されていて、ハイリスク患者はあらかじめOPE後はICU管理になるため、突発的な入室というのは日に3件もいかないです。

またICUは原則看護師は2:1配置で対応しており、医師や技師も常駐している特殊な病棟なので、日勤と夜勤で治療に大きく差があるということはあまりありません。

しかし、医師も常駐とはいえ当直体制で病院内には人数がそろっているわけではありません。

時間的に余裕があるときには、MRIなどの精密検査は院内全体の人が多い日勤帯に持ち越すこともあります。

ICUナースは一般病棟に比べると残業は多い?

私の勤務する病院ではICUは比較的残業が少ない部署となっています。

看護師の配置が病棟よりも多く、急変があった場合には受け持ちの変更や周りへの業務配分がされますし、日勤帯と夜勤帯での交代もスムーズです。

また比較的時間で動く処置が多く、その場でタイムリーな記録を求められることがほとんどで記録係もいます。

モニタリングも医療機器とパソコンがリンクされているた病棟のように、「あとで記録しよう」ということが少ないです。

業務や処置で区切りやすいので、時間を意識して自分の業務を整理し、よほど勤務終了間際に急変が続出しなければ残業は少なく帰宅できると思います。

ただ、新人看護師のころは翌日の症例について調べたりする時間も必要なので、残業や前残業と呼ばれる情報収集の時間が残業になります。

 ICU看護師の給料や待遇は一般病棟よりいいの?

ICU看護師は病院によっても違いますが、一般病棟よりも看護師配置人数が多いためその分夜勤が多くなります。

そのため、夜勤手当が必然的に増えますので、一般病棟よりは給料があがることが多いです。

待遇の面では、ICU看護師だからという理由はありません。

むしろBLS研修だけでなくACLS研修など高度救命技術研修を受講することを推奨されるため研修に費やす時間が多くなる場合もあります。

ICU看護師はきつい?10年目ナースが教えるメリット・デメリット

ICUのメリットやデメリットも正直なところ個人の裁量によると思います。

ICUだからきついではなく、看護師全体がいわゆる3K(巷ではきつい、汚い、危険)です。

意識のない患者さんを目の前に動揺することなく淡々と業務をこなせる人や、慢性的な疾患や精神的な疾患を抱えた患者さんへの看護に時間をかけることに重きを置きたい人など、人によって看護をする上で大切にしたい自分の看護感がありますよね。

そのため、次に説明する私が思うメリット・デメリットについては参考にしてくださいね。

ICU看護師になってよかったメリット

・高度な医療技術や知識を求められることが多いため、新人看護師から始めること

で外科、内科問わず実践的スキルの獲得スピードが速い傾向にある

・薬剤管理などに精通することができる

・医療機器の扱いの経験が多いため技術獲得までの時間が短い

・急性期ならではの家族、患者のサポートについて学ぶことができる

・夜勤回数が多いため給与が比較的高い

ICU看護師の大変だと感じたデメリット

・患者の出入りが激しいため1対1で関われる時間が短くなる傾向にある

・新人期から幅広い知識の獲得を要求される

・急変等が多いと休憩時間も取れないことや長時間の胸骨圧迫など体力勝負

・命の危機にさらされている患者の家族対応など難しい局面が多い

・短期間に亡くなる患者も多く、気持ちの切り替えに心が疲弊してしまうことも多い

10年目ナースが考える ICU看護師が向いている人

私は最初ICU希望ではありませんでした。

もともと外科系を希望していたのですが、面談を経てICUに配属されることになりました。

それが何の縁があってか10年もICU看護師を続けているのです。

つまり、ICU看護師を希望する人=ICU看護師に向いているではないんです。

ただ、ICU看護師は患者さんの出入りが激しく目まぐるしい変化が多い場所。

そのため、物事の変化に柔軟に対応でき、引きずらないタイプの人が向いていますよ。

また、体力勝負のところもありますので体力に自信がない人は避けた方がいいです。

ICU看護師への転職(異動)を成功させるポイント

ICU勤務を希望する人の中には最初から急性期を希望する人以外に、気分転換であったり、自分自身のステップアップしたいと希望する人がICUへ移動してくる場合も多くあります。

しかし病棟との時間軸の流れ(治療のスピードや患者の入れ替わりなど)の違いにギャップが生じ、最初の頃はついていくのが精いっぱいという人が多かったです。

また病棟だとある程度病棟に入院する患者さんの診療科が固定されているので、その診療科のプロフェッショナルになることが多いと思います。

ICUは心臓の手術後や脳出血後など色々な疾患を抱えた患者さんを受け持つことになりますので、勉強しなくてはならない知識量が多くなるため挫折してしまうことも。

スキルアップしたいと思うあまり焦ってしまうこともあるので、自分の気持ちに余裕が持てるタイミングでの移動を希望し、ギャップを感じた時に自分自身を追いつめないようにしましょう。

ICUへ転職(異動)前にチェックしておくポイント

あまり知られていませんが、実はICUにも色々なランク付けがされているのです。

それは特定集中治療室管理加算と言って、診療報酬に直結します。

患者一人にどれくらいの診療スペースがあるかなど細かな部分による違いなどもありますし、また同じICUという名称でも人工心肺を日常的に取り扱うICUや人工呼吸器までというICUもあります。

また施設によってはICUだけでなく、HCUというHigh Care Unitを併設し細かく入室基準を分けている病院もあります。

またICU=ERと思っている人も中にはいるのですが、その線引きは病院によって様々です。

ERは救急治療室で外傷などの受け入れも行っていますが、ICUは一般的にハイリスク患者の術後管理なども行っています。

また病院によってはICUとSCU(脳卒中集中治療室)やCCU(冠動脈疾患集中治療室)など疾患別に分かれている病院もあります。

自分が学びたい看護によって対象となる集中治療室が変わってくることもありますので、予めリサーチしておくことも重要です。

ICUの情報を得る方法

多くの病院では学生さんや新人さん向けであればインターンシップ、また既卒の人の配転希望であれば院内ローテーション、院内短期留学などのスキルアップ支援などを行っています。

また就職セミナーなどにも看護基本配置や対象とする診療科だけでなくICUの施設基準について触れていることが多いので参考にしてみてくださいね。

そしてぜひ身をもってICUの看護の空気を体感してみたり、そこで実際に働いている看護師や医師の声を聴いてみるのが1番です。

転職でICUを目指すなら、内部情報まで情報が得られる転職サイトを利用してみてくださいね。

\病院の内部で働くナースの情報が集まっている/

ICU10年目ナースが教える仕事や役割とスケジュール:まとめ

ICUは超急性期で医療器具も多く、つながっている点滴類も多いのでなんとなく難しいというイメージがありますよね。

勉強することが多い分新人看護師やスキルアップを求めている人の配転場所としてはうってつけなのです。

病棟に精通した看護師さんであれば、その経験を活かし早期から社会的支援の導入などの強みを生かせます。

そして、急性期に陥ってしまった患者さんだけでなくその家族のメンタルサポートなどもICU看護師の腕の見せ所。

ぜひ、くICUの看護師として超急性期看護を極めていきましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URL Copied!
  • URL Copied!

この記事を書いた人

目次
閉じる