「看護師」と一言で言っても、准看護師、正看護師、認定看護師、専門看護師といろいろな種類の看護師の資格があります。
また、新型コロナウイルスが流行する以前より看護師不足が騒がれて、外国人留学生にも対応した国家試験問題にもなってきました。
これから2025年には団塊の世代が75歳以上になり、2060年まではさらに高齢者が増え、看護師が今よりも必要な時代がやってきます。
今回はそんな引く手あまたな「正看護師」について、准看護師から看護師になった体験談・経験談をもとに紹介していきたいと思います。
准看護師になったきっかけ

准看護師になったのは高校卒業してすぐです。
中学生のときに進路を考えていたころ、昔から保育士や救急救命士など「人の役に立つ仕事」ばかり夢見ていました。
もともと人が好きだったということ、それに加え、医学にも興味があったことで看護師の道に進むと決めたのです。
実家も裕福な方ではなく、早く現場に出て収入が欲しかったことと早く医学について学びたかったため、衛生看護科がある高校を受験して入学。
そこで3年間勉強し、准看護師試験を受験、無事に合格して准看護師となりました。
准看護師から看護師を目指すきっかけ

衛生看護科を卒業する生徒の9割はそのまま看護専門学校や看護系大学に進学します。
中には看護の道ではなく、美容や音楽など違う道へ進む方もいました。
現在の世の中の動きから「いづれは准看護師制度は廃止」という話も出ています。
しかし、なかなか看護師不足の現状ではまだまだ先の話になるのではないかと思われます。
(現に10年前から全く話は進んでいません)
それに加え、准看護師と正看護師では仕事内容がほぼ一緒なのに給料は2~5万もの差がある場合もあります。求人内容も全く変わってきます。
そのため、将来看護師として就職する予定の生徒は必然的に准看護師から正看護師への進学となるのです。
准看護師から看護師になるまでの経験談

専門学生のときの経験談になります。
准看護師資格をもって入学をするのですが、勉強のレベルは全く違いました。
専門的な知識から看護に対する考え方、ケアをしていくうえでのアセスメント(患者さんの情報を分析してケアにつなげるまでの根拠付け)の方法、看護計画の立案方法などをみっちりと学ぶのです。
高校のときには看護師免許を持った教員が基礎看護学や病気の知識を教えてくれます。
しかし、専門学校となると講師のレベルも段違い。
私の専門学校では、大学の解剖学研究室所長が解剖生理学の講師だったり、保健衛生については行政の方、薬理については薬学部の准教授、病気については実際に提携している病院の医師と各種の専門家が講師として教壇に立って授業をするのです。
話す内容も難しく、授業についていくのが精一杯でした。
しかし、質問をしても確実な答えが返ってきたり、いろいろな事例などを話して頂けるため、看護師国家試験にも無事に合格。
現在も看護師としてその知識が役に立っています。
准看護師から看護師になるのは大変?

勉強に関しては准看護師の内容をベースにし、より具体的に、より詳しくなったものが正看護師の勉強内容でした。
特に私の場合は仕事をしながらだったため、体力的に辛かったことはあります。
私は合計6年間で正看護師まで取得しましたが、中には3年間で正看護師まで取得する学校、大学では4年間で正看護師に加えて保健師や助産師などを勉強する方もたくさんいらっしゃいます。
自分が置かれた環境や目標によって進路は変わってきますが、どこをとっても楽な道ではないのは確かですね。
准看護師から看護師になってよかったこと

前項では大変な事ばかり書いてしまいましたが、それを上回るメリットもたくさんあります。
私が思うメリットは次の4つです
・人の生まれる前から亡くなった後まで関わることができる唯一の資格
・進路の幅がいっぱい広がる
・就職に困らない(転職の回数が経験値になることもある)
・自分自身が人間として成長できる
人の生まれる前から亡くなった後まで関わることができる唯一の資格
まず准看護師でも看護師でも一緒ですが、出生前から死亡後まで寄り添うことができます。
妊婦さんと関わることで胎児の状況や出産に立ち会い生命の誕生を見ることができます。
また、寿命を迎えたり残念ながら病気によって命を落とされた後も、できるかぎり綺麗な状態でお見送りをする準備を手伝ったり、御家族のケアなど亡くなられた後も関わることができます。
助産師、保育士、学校教員、介護職、納棺師など各ステージによって関わる職種が変わってきますが、看護師はその全てにかかわることができるのです。
進路の幅がいっぱい広がる
2つ目に進路の幅がとても広がります。
正看護師にならなければ助産師、保健師、認定看護師、専門看護師など上級資格取るための学校へ進学ができません。(ケアマネージャーや認知症ケア専門士などの民間資格は准看護師でも取得可能です)
就職に困らない(転職の回数が経験値になることもある)
3つ目のメリットにも関わりますが、就職先でも優遇されます。
たとえば訪問看護では准看護師と正看護師で訪問した報酬が10%変わってきます。
また、正看護師は管理職になれたり人員配置基準でも必要になってきます。
そのため、就職するときに採用者は必ず准看護師か正看護師かを確認されます。
補足ですが、転職回数や場所によっても「経験値」としてとらえてもらえる場合があります。
しかし、面接の際にきちんとした目的があり転職した旨を伝えないと「続かない人」ととらえられてマイナスなイメージになるので要注意です。
自分自身が人間として成長できる
最後に自分自身が成長できます。
いろいろな患者さんや利用者さん、その御家族、利用者さんを取り囲む医師やケアマネージャー、デイサービスの職員さんやセラピストさんなどたくさんの方々と関わったり、患者さんから昔の話や人生観、価値観などいろんなことを学ばせて頂きました。他の職種だとここまで他人とつながるような経験はできません。
学生時代に苦しい経験をした先には、このようなメリットがたくさんの資格なんですよ。
准看護師から看護師になってよくなかったこと

よくなかったことは「感染症があるのではないか」「なんか薬のにおいがする」などいわれたことがありました。
でも、実際には感染対策はきちんとしているので感染症の診断や病気が発症したことはありません。
薬の匂いがするのは特殊な例だと思います。消毒液が手についてしまったりしたときには少しにおうかもしれませんね。
あとは就職した環境にもよると思いますが、仕事が忙しすぎて遊ぶ時間などがなく、お金の使い道に困ったと友人が話していました。
「お金があっても使うことがないから貯まる一方」ということでしたが、私からしたら羨ましいかぎりです。
准看護師から看護師を目指すのがおすすめな人とおすすめじゃない人

准看護師から看護師になるときに岐路が分かれると思います。
おすすめな人は「さらに上へ目指したい人」「定職についてばりばり働きたい人」です。
目標がないと学生時代に熱が冷めてしまい、国家試験に合格できません。
「将来、安定的な収入が欲しい」や「同じ仕事なら正看護師の方がいい!」というモチベーションでも良いと思います。
モチベーションが持続できる方なら正看護師になるべきだと私は思います。
おすすめしない人は「自分で考えて行動するのはめんどくさい」「責任が持てない」という方は、残念ですが准看護師して働かれた方が自身にとっても患者さんや職場のためにもいいのではないかと思います。
資格を取る、給料が上がるということは、責任も同時についてきます。
その責任をしっかりと自覚し、相手のことを思いやる事ができる方は是非、一緒に正看護師として働きたいですね。
准看護師から看護師になる方法と実際になった体験談:まとめ
さて、准看護師から正看護師になるまでの方法と実際になってからの体験談をお話ししましたがいかがでしたか?
准看護師だからダメだ、正看護師だから偉いということはありません。
准看護師でもしっかり責任をもって職務を全うされている方、正看護師でも「大丈夫かな?」と思う方もいらっしゃいます。
しっかりと目標を持って、正看護師になるために専門学校や看護系大学(短大など含む)へ進学されれば、正看護師になれたも同然です!
専門職というのは自身の知識や技術が商品となります。
患者さんから必要とされたときに自信と責任を持ってケアできるように学校でしっかりと勉強し、自分を高めて下さい。