訪問看護師になりたい気持ちはあるけど、いろんな噂を聞いて決心がつかない・・・というあなた!
「暴力を振るわれた」「体力がおいつかない」「トラブルが多そう」などの噂をよく聞きますが、本当です。
ですが、それは誤った対処方法や自分の行動の結果、「きつく」て「トラブル」に巻き込まれ、挙げ句の果てには「暴力」につながることが多いです。
今回は現役訪問看護師が実際にあった体験談を交えながら、訪問看護の楽しさも分からず退職してしまわないように、対処方法をお話したいと思います!
訪問看護師はしんどくてきついし疲れる?実際のきつくて大変と感じる場面と乗り越え方

訪問看護師のネガティブなイメージ「しんどい」「きつい」というのをよく聞きます。
確かに時と場合によっては「しんどい」し「きつい」ときもあります。
でもきちんと対処すればきっと楽しい訪問生活ができるので少し紹介しますね。
自分で考えて判断しなきゃいけない
訪問看護師は基本的に一人で行動し、一人で現場に行き、一人で看護を提供します。
そう、全てステーションから出て帰ってくるまで看護師は自分一人なのです。
簡単な相談から、急変の予兆が見られるときなども一人で考えて行動します。
今のを聞いてどう思われましたか?
「一人でなにかあったらどうするんだろう。」
「一人って気が楽でいい!」
どちらのタイプでしょうか?
訪問看護師の必要なスキルには「フィジカルアセスメント」の能力が必要不可欠です。
それは「判断する」ことが多いからです。
病院では他の看護師が患者さんの状態を一緒に見ることができるので、相談をして一緒に考えることができます。
しかし、訪問看護はステーションからもう一人応援に来るには時間がかかりますよね。
なのである程度は自身でフィジカルアセスメントを行い、必要であれば医師に連絡したり、家族に指導することもあります。
でもそんなに心配しなくても大丈夫です。
多くのステーションでは連絡用の携帯電話やタブレットを訪問看護師に持たせているか、自身の携帯電話に管理者やリーダーの番号を登録しておけば相談は可能です。
最近ではテレビ通話もできますが、口頭で的確に伝える技術を身につけた方がよいでしょう。
体力仕事が意外と多くて疲れる
訪問看護師の仕事は体力仕事がわりと多いです。
重たい訪問バッグを抱えて移動し、狭い部屋で体を上げたり、段差を車椅子で昇降したりと体力仕事です。
病院や施設は、部屋の大きさはきちんと設置基準で決められています。
でも自宅は介助するためには作られていません。
訪問バッグも重たいときには10kgは軽く超します。血圧計や個人ファイル、その他ケアで必要な物品を入れていくわけですから、それなりの重量になるのは仕方ないですね。
それに運転に慣れていない方や地理が分からないと訪問するときに精神的にも疲れます。
ではどうしたら疲労感を感じずにできるのでしょうか?
結果から言うと、全て楽にしようとするのは物理的に無理です。
しかし、訪問カバンの中身を考えなおす、介護用品を使用してベッド上の移動を楽にするなど方法はあります。
体力を使うということは、力を使うこと=無理すると体が壊れるということです。
腰を痛めたり、患者さんい負担がかからない方法をステーションみんなで考えてみましょう。
休みや夜のオンコールの呼び出しで気が休まらない
オンコールって訪問看護師特有の悩みだったりします。
なので他の看護師に相談してもあまりイメージがわきません。
相談しても納得する乗り越え方が帰ってこない・・・なんてこともありました。
家に帰ってもいつ電話がなるのかわからないし、プライベートのはずなのに拘束されている気持ちになりますよね。
実際には「膀胱留置(バルン)カテーテルが詰まった」「発熱している」「嘔吐した」などオンコールがあることもあります。
ではどうしたらいいのか?
それは「訪問時に先手を打つ」ことです。
本人や家族に「〇〇のときには△△してみてください。」など具体的に対処方法を教えておくと、看護師に連絡せずに自身で対応してもらえます。
また、電話をかけるときには「〇〇の時には□□や××を観察して、電話で教えてもらえると助かります」と観察項目を伝えておけば、電話越しにでもアセスメントが可能になります。
訪問時に「このまま帰っても電話こないよね!大丈夫!」と心の中で確認して下さい。
そうすれば電話のがかかってくる率も低くなります。
訪問看護師はトラブルが多そうだから大変?対処とか責任で辞めさせられる?

実際には病院よりもトラブルになる可能性は訪問看護では多いです。
しかし、そこまでビクビクしながら仕事をする必要はありません。
楽しく訪問看護ができるように、トラブルにならないためにできることを解説します!
訪問看護師がトラブルになった例と解決した方法
それではトラブルの例を見てみましょう。
例)84歳女性、独居で息子夫婦家族は近所に住んでいるがあまり来ない。訪問看護師が訪問した後にステーションへ「現金がなくなった。訪問看護師が仏間(現金の隠し場所)を見ていた」と電話が入った。訪問した看護師に事情を聞くと「本人と仏間に入って亡くなったお父さんの話を聞きました。部屋が散乱してたので本人と話しながら少し片付けました。一人で仏間に入ったことはないし、現金があるかどうかも知らなかった。」という。
たとえばこのような話。
独居で家族がいないと普段の様子などがわからないですよね。
それに本当に看護師が現金を触っていたら大変な事になります。
ではどうやって解決したのか。
〈解決方法〉
・キーパーソン(息子様)とステーション管理者とで訪問し、本人から直接話を伺った。
・その後、3人で仏間へ行き、現金があるはずの場所を確認した。
・部屋が散乱していたので一緒に片付けると座布団のしたから現金と封筒が出てきた。
今回はこのような対処で何事もなく解決しました。
実はこれ、実話なんです。
この時、管理者が取った行動は
①一人ではなく、息子様に同行をお願いした
②当事者は連れて行かなかった
③本人様を含めて確認した
この3点が鍵でした。
ステーション管理者は訪問した看護師が普段からまじめに職務をこなしていたことは知っていました。
また、全て一人で行動するのではなく「誰かと一緒に」行動すること、そして本人が安心できる人をつれていくことで本人が納得いく形を取ることができました。
この件から、MCI(軽度認知症)がわかり、医療の介入で今もまだ一人暮らしできているし、息子様も様子をうかがう機会が増えました。
訪問看護師がトラブルにならないためにできること
トラブルにならないためにできることは1つしかありません
「疑われること、不審に思われることはしない」
これにつきます。
何事も自分の行動一つで状況は変っていきます。
「でも例では本人と一緒で疑われることはないなのにトラブルになってない?」
と思いますよね?
ここで難しいのは
「本人様の普段の様子からMCIを疑われることが無かったかを見極められるか」
です。
仏間は散乱しており、片付けができていなかったことからアセスメントを広げることができればトラブルは防げたかもしれません。
普段の様子から少しの変化を見つけることも看護の大切な仕事ですし、トラブルを防ぐことにもつながります。
また、トラブルが発生したときに一人で解決せずに管理者と一緒に動きましょう。
もしも間違った対処をした場合、誰も守ってもらえなくなってしまい、責任を負うことになりかねません。
故意でトラブルを起こしたのでなければ、ステーションは看護師を守ってくれます。
必ず、何か起こった場合は管理者へ「報・連・相」を徹底して事に当たりましょう。
訪問看護師は暴力を受けて危険?実際に見たり聞いた事件と解決方法を紹介

訪問看護は一人で訪問するので、何かあったら恐いですよね。
特にまだ女性が多い職業なので、男性の利用者からの暴力は特に恐怖だと思います。
そんなときにどうしたらよいのか、怖がらずに訪問するためにできることを解説していきます。
訪問看護師が暴力を受けた場面と解決した方法
訪問看護師が暴力を受ける場面で多いのは、「精神科訪問看護」の場合が特に多いです。
精神疾患を抱えて生活している方の看護に当たりますので、状態によっては精神的に不安定なこともあります。
利用者本人の意にそぐわないことをしたりする場面で多いですね。
他にも心を落ち着かせる薬を内服できていなかったり、本人がパニックになったりといろんなことが考えられます。
そのような時に間違った対処法をするとパンチが飛んできたり、言葉の暴力を受けることもあります。
対処法は「個人に合わせる」しかないのではないかと思います。
その人個人を見て、何が原因なのかをチームで話し合って共有していくことが対処につながりますので一概に「これ!」とは言いがたいですね。
訪問看護師が暴力を受けないためにできること
まずできることは「2人で訪問する」ことです。
もしも暴力があり、助けを求めることができないと困ります。
次に「気持ちのクールダウン」をすることです。
話を聞いたり、無言でもそばにいるなど、その方に合わせたクールダウン方法をチームで共有しておくことも重要になってきます。
最後に「信頼関係を構築」していくことが最も重要で難しいところです。
信頼できる看護師の顔を見ただけで落ち着く、なんてこともざらにありますからね。
精神科は心の病なので、心にどれだけ良いアプローチをするかによって状況は変ってきます。
※精神科ではない場合は何が怒らせた原因なのかをきちんと理解し、謝罪などの対応が必要になってきます。
訪問看護師は1人で行くから不安で怖い?独立する時期と不安のなくしかた

未経験から独り立ちするときって本当にドキドキしますよね。
今でも初めて一人で訪問したときのことは覚えています。
ではどのくらいで独り立ちしてどうやって不安を乗り越えたのか、解説していきます。
訪問看護師が独り立ちするのはどれくらい?
これはステーションによって違ったり、看護師の経験や技術にもよるところです。
だいたい、一人で1日回ることができるようになるには3ヶ月~6ヶ月程度かかります。
はじめは必ず独り立ちする流れは
①独り立ち看護師と一緒に訪問
②援助などを見学
③指導を受けながら援助
④独り立ち
と言う流れが多いのではないかと思います。
新卒の看護師だと、看護技術自体が初めてということもあります。
そこから指導を受けることになりますのでさらに時間がかかるでしょう。
また、訪問以外にも記録の仕方や実績の取り方など事務作業も一通り覚えなければならないので大変です。
独りで訪問するのが怖くて不安なときの乗り越え方
最初は誰でも不安です。
現役で訪問看護師をしている私も最初は不安でした。
どうやって乗り越えたか。
それは「先輩に聞きまくる!」です。
同行訪問のときに先輩の行動を逐一メモして、ステーションに帰ったときや移動時に補足で聞いていました。
そのメモを頼りに訪問し、わからないことがあれば電話でその都度確認しています。
独り立ちした今でも管理者に電話をかけることは多々あります!
もしも自分が管理者の立場であれば、わからずにそのまま援助されるよりも聞いてもらった方が助かりますし、「この人はきちんと聞いてくる人だ」と安心できます。
わからないことはどんどん聞いていきましょう!
訪問看護師の魅力もたくさんある!やりがいや楽なところを紹介

ネガティブな話をしてきましたが、もちろん良いところ、やりがいもたくさんあります!
後味が悪くならないようにポジティブなこともお話ししますね!
夜勤をしなくていい
現役訪問看護師の私が訪問看護を選んだ理由の一つに「夜勤がない」も入ってます。
趣味が多いし、夜勤をすると生活リズムが狂うので極力したくはありません。
オンコール当番は月に6~8回ありますが、ほとんど日中に対処してくれているのでかかってくることはありません。
おかげさまで生活リズムが崩れることはなく、趣味も楽しめています。
患者さんと時間いっぱいしっかりと看護することができる
30分~1時間の訪問が多いのですが、みっちりマンツーマンで時間を使うことができます。
また家族と同居されている方も多いので、家族からのお話も聞けたりします。
病院と違い、「(時間内であれば)専属の看護師」と言えるほど訪問していろんなことができています。
その人の人生そのものが見られるので、より一層、看護に力が入りますね!
病院では出会えない方に出会う
訪問看護は「病気を治す」ではなく、「病気と付き合っていくことを支援する」ことが多いです。
そのため、「小児麻痺」や「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の方など幅広く、看護することができます。
同期の看護師達と話すときでも、「なんでそんなにいろんなこと知ってるの?」と不思議がられることもあります。
病棟にいたら、診療科に詳しくなりますが幅広くはなかなか見られません。
訪問看護であれば、必然的に関わることになるので自然に勉強し、知識になります。
ケアが感謝に直結する
病院でも「看護師さん、ありがとう」と言ってくれる患者さんは多くいます。
しかし、訪問看護では「○○さん、ありがとう」とダイレクトに感謝を伝えられる場面が多いように思います。
病院のように色んな看護師が関わるわけではないので、顔や名前を覚えてもらいやすいです。
それに自分のケアがいい時には反応もいいですし、イマイチなケアをすると反応も悪いです。
また家族との関係も深くなることからより、感謝の思いが伝わりやすいですね。
訪問看護を辞める理由はきついし疲れた、危険だから?実際にあったトラブルなどの事例と乗り越え方を紹介のまとめ
訪問看護師として働くうえで、「しんどい」「きつい」は避けられないことです。
しかし、工夫次第ではそれが「楽しい」になり得ます。
どの仕事でもそうですが、辛いことを見つけるよりも楽しさを見つけた方が続きますね。
相手は理由なしに暴力を振るうことはそんなにありません。
何かしら理由があるので、そこを考えて行動してみると危険が回避されることは多いです。
どうしても避けられない場合には必ず2人で訪問すること!
利用者さんはもちろん、看護師サイドも安全第一でケアをしていきたいですね。
いかがでしたでしょうか?
少しは不安が取り除けたでしょうか。
1人で悩むことはないです。
先輩看護師や管理者の方と一緒に考えて、前に進んでいきましょう!
楽しい訪問看護師ライフをエンジョイできるといいですね!